![ビーナスライン](https://meibakan.com/wp-content/uploads/2020/09/20200620222345-1024x576.jpg)
孤独を背負い、虚しさを噛みしめ
一人杯を重ねた、あの天才詩人
石川啄木
彼は、一人の女性のために、22首もの歌を詠んだ
君に似し
姿を街に見る時の
心躍りをあはれと思へ
その忘れがたき女性がいた街
生涯彼女を思い
命尽きるなら函館でと
手紙に残した
その愛の深さは、計り知れない
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『ビーナスライン』
その馬もまた、函館を愛した
3歳の夏
初めて訪れた港町の旅情に、胸を高鳴らせた乙女
2週間後
同じ舞台で再び豪快に差し切り2連勝
この強さは本物か
しかし、北国の短い夏が終わると彼女も勢いを失った
あのきらめきは
1年後、勝利から遠ざかっていたビーナスラインは
この地へと帰ってきた
忘れえぬ思い出の場所で
かつての剛脚が蘇る
ここでは負け知らずの3連勝
函館は不可能を可能にする場所だった
翌年の函館スプリントステークス
重賞初挑戦の彼女は最低人気
しかし…
大外から目の覚めるような末脚で
大波乱の主役となる
愛する街に、自らの蹄跡を深く刻んだ
愛は
魂を目覚めさせる
苦悩に満ちた現実に
光を与えてくれる
愛とは
命そのものなのかもしれない
ビーナスライン
牝馬 栗毛
2001年3月12日生まれ
父:フジキセキ
母:ホクトペンダント
生涯成績:36戦6勝
獲得賞金:1億6084万円
主な勝ち鞍:函館スプリントステークス(2006年)
■前回の土曜名馬座