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2020年9月5日放送「それぞれの時 / アストンマーチャン」

時間というものには

それぞれの速さがあるのだろう

一瞬一瞬を走り抜く速さも

生涯を駆け抜ける速さも

閃光の如く輝きを放った逃走劇を

人々は永遠に忘れない

『アストンマーチャン』

速さこそ、彼女の全てだった

デビュー以来、3戦続けて小倉のスプリント戦に出走

そのスピードに追いつけるものは、いなかった

重賞を連勝して迎えた、2歳女王決定戦

初めて挑む1,600mの戦い

女王の座は、目前にあった

だが、後のダービー馬の強襲に屈する

3歳初戦は、単勝1.1倍の大本命

アストンマーチャンは、その重圧さえ楽しんだ 

足慣らしをすませ、桜の舞台へ

しかし

この日彼女は、今までにない屈辱を味わう

史上屈指の女傑たちを前に、為すすべなく惨敗

路線転向を決意する

スピードの極限に挑む

選んだのは、スプリント王者決定戦

歴戦のスピード自慢を相手に

見事な逃走劇を演じてみせる

天国へと旅立ったのは、この半年後

彼女は、誰も寄せ付けぬスピードで

短い生涯を駆け抜けた。

人生とは
今を生きるということだ

過去も未来も
幻想にすぎない

あるのは
現在という瞬間の連続だけ

アストンマーチャン
牝馬 鹿毛
2004年3月5日生まれ
父:アドマイヤコジーン
母: ラスリングカプス

生涯成績:11戦5勝
獲得賞金:2億4899万7000円
主な勝ち鞍:スプリンターズステークス(2007年)、フィリーズレビュー(2007年)、ファンタジーステークス(2006年)、小倉2歳ステークス(2006年)

■前回の土曜名馬座

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