土曜名馬座アルバム

人生のどん底を、支えてくれる歌がある。金もコネもないが、神から与えられた声を持つ男が、スターダムへと駆け上がる名作。映画『ジャージー・ボーイズ』。大ヒットの陰では、トラブルに次々と見舞われ、最愛の娘の死が、彼を襲った。その時、盟友が彼のために作ったのがこの曲。（Can't Take My Eyes Off You）。彼は、再びステージに立った。信じるものがあれば、人は何度でもやり直せる…

地図上では、日本と韓国が、同じ色だった時代。大陸から海を渡った男は、サムライブルーのジャージを着た。サッカー日本代表は、初のオリンピック出場（1936年 ベルリンオリンピック）。優勝候補相手に、力の差は歴然としていた。前半で2失点。だが、失意の仲間を、鼓舞し続ける選手がいた。金 容植。その気迫は、チームの士気を蘇らせ、ついには逆転。強靭な魂があってこそ、勝ち取れる奇跡がある…

あの悪魔のような美食家は、何を求めていたのか。映画『羊たちの沈黙』。彼は、映画史に刻まれた、天才の頭脳を持つ犯罪者。その並外れた洞察力は、主人公の捜査官を、飲み込んでゆく。医学か、狂気か…。得体の知れないモンスターに、彼女は果敢に立ち向かう。先の読めない挑戦にこそ、意味がある…

マンハッタンを歩いていた19歳の美少女は、ファッション誌の編集者に見出され、瞬く間に、トップモデルに上り詰めた。リー・ミラー。だが、1枚の写真が悲劇を生む。当時はタブーとされていた製品の広告に使われ、モデルの道は、閉ざされてしまう。しかし、優れたアーティストでもあった彼女は、フォトグラファーの道へ。アメリカ初の女性従軍カメラマンとしても、活躍の場を広げた。道なき道を行く者に、栄光あれ…

かつて、バードと呼ばれた、天才サックス奏者がいた。チャーリー・パーカー。何もない地方都市で生まれ、ジャズだけが希望だった。仲間とセッションに明け暮れ、ジャズの即興に画期的な自由、ビバップを吹き込んだ。スリリングな音を引っさげ、憧れの街マンハッタンへ。伝説は、この場所（バードランド）から始まった…

時代の先を行く男は、栄光の裏で、心の闇をさまよっていた。映画『アビエイター』。新型飛行機の開発に心酔した、大富豪を演じたのは、飛躍を願うあの俳優。レオナルド・ディカプリオ。自ら製作総指揮も務めた。タッグを組んだのは、かつて演技派へと導いてくれた巨匠。マーティン・スコセッシ。二人のコンビネーションは、空を駆け、やがて結実する。強い絆が、栄光へ導く…

まるで優れた建築のように、美しいイス。デザインしたのは、時代の扉を開いた3人の巨匠たち。ル・コルビュジエ。フランク・ロイド・ライト。ミース・ファン・デル・ローエ。我々は、彼らが描いた未来の中にいる。では、サラブレッドの礎を築いたのは…。壮大な歴史は、この3頭から始まった。彼らの血は、3世紀を超えて受け継がれ、その尊き遺産が、我々を虜にする…

サーフィンは、地球との対話。時に容赦ない仕打ちを受ける。プロサーファーを目指していた彼女は、巨大なサメに襲われて、左腕を失った。ベサニー・ハミルトン。絶望と恐怖の日々。だが彼女は、再び海に戻っていった。強い魂が、試練を打ち破る…

プレッシャーに押しつぶされて、泣いた時もあった。耐えて勝つ天才プレイヤー。クリス・エバート。彼女はいつも、美しいチェーンをまとって戦っていた。彼女の前に、もう一人の天才が立ちはだかる。マルチナ・ナブラチロワ。ストロークとネットプレー。二人は対照的なスタイルで、80回にわたり、女王の座を奪い合った。ライバルがいてこそ、才能は輝き合う…

鳥肌が立つギターリフ。鮮烈なボーカル。70年代を代表するカリスマバンド。レッド・ツェッペリン。何もかもが規格外。全てが、それまでのロックと違っていた。その音に、人々は熱狂した。大音量の圧倒的グルーヴ感が、大地を揺らしたという伝説も…。型破りの彼らは、新たな扉を開いてみせた…。