無を求め、己の心を見つめ直す
弱さを知り、強くなるために
アサファ・パウエル
陸上100m、元世界記録保持者の彼は
大舞台では、結果を残せていない
恵まれた体格が生み出す、爆発的な飛び出し
だが…
勝利へのプレッシャーや、ライバルへの恐怖心に飲み込まれてしまう
メンタルという敵と戦い続けた、最速の男だった
『ロイヤルタッチ』
兄はダービー馬、ウイニングチケット
デビュー前から注目を集め
初陣で、噂に違わぬ走りを見せる
将来を嘱望された、その馬の名は…
2戦目に選んだのは、出世レースラジオたんぱ杯
後のGⅠ馬3頭を競り落とし、クラシックの本名に躍り出る
年明け初戦のきさらぎ賞では
ダンスインザダークと再戦を果たす
悠々とライバルを差し切り
偉業達成は、現実味を帯びた
だが、期待は時に負荷となる
運命の日
ロイヤルタッチは、プレッシャーに押しつぶされていた
響き渡る大歓声すら、彼の耳には届かない
自慢の末脚は、切れ味を失い
ライバルたちの背が、遠のいていく
もしも、平常心で臨めていたら…
夢は、幻に終わった
トレーニングは
裏切らない
だが
心を鍛えるのは難しい
大切なのは
己を見つめ直すこと
ロイヤルタッチ
牡馬 黒鹿毛
1993年3月24日生まれ
父：サンデーサイレンス
母：パワフルレディ
生涯成績：15戦3勝
獲得賞金：3億1054万7千円
主な勝ち鞍：きさらぎ賞（1996年）、ラジオたんぱ杯3歳ステークス（1995年）
■前回の土曜名馬座
