2025

土曜名馬座

2025年9月13日放送「追想 / アドマイヤキッス」

彼女の魅力は、スクリーンいっぱいにみなぎらせる感情の豊かさ。セザール賞を二度も受賞。ロミー・シュナイダー。だが、眩いキャリアとは裏腹の波乱に満ちた私生活。2度の離婚、息子の死…。そして43歳の若さで、彼女は早世してしまう。かつて共演し、恋に落ちたアラン・ドロンは、追悼の言葉を残した。君を貪り眺め続けたい。なんて美しいんだ。休むんだよ、僕はここにいる…
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2025年9月6日放送「全身全霊 / ビハインドザマスク」

遅咲きながらも、美しく花開いたあの女優。決して運が良かっただけではない。オーディションに落ち続けても演技を磨き、ようやくスターの座を掴んだ。エイミー・アダムス。おとぎ話のプリンセス、宇宙人とコンタクトする言語学者、詐欺師の愛人。キャラクターを掘り下げ、ディテールを作り込み、役を自分のものにする。オスカーを手にする日も、そう遠くはないだろう…
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2025年8月30日放送「大舞台 / メイショウサムソン、ダイワスカーレット」

1504年。地球上で最も美意識が輝いていた街で、ルネサンスを代表する、2人のアーティストがしのぎを削っていた。レオナルド・ダ・ヴィンチ。ミケランジェロ・ブオナローティ。強烈な才能を放つ彼らに、大舞台で競う機会が訪れる。宮殿の壁に、巨大なフレスコ画を描く構想。互いに見事な下絵は描いたが、壁画は未完成に…。500年の時を超えても、幻の競演に、人々は熱き思いをはせる…
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2025年8月23日放送「激戦 / ビービーガルダン」

全てを押しのけて走る姿は、ライオンのようだった。ナイジェル・マンセルが、アイルトン・セナを追い詰めた1986年のF1スペイングランプリ。トップを走っていたマンセルは、不運にもタイヤがパンク。セナに抜かれてしまう。だが闘争心に火がつき、猛追撃が始まる。最終ラップ。凄まじい加速で、フィニッシュラインに飛び込んだ。わずか0.014秒差、マンセルは届かず…。ライバル同士のボルテージは上がっていった…
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2025年8月16日放送「LAST KINGDOM / サクラプレジデント」

あの国王も愛した、チョコレートドリンク。こいつは混ぜてはいけない…。ビチェリン。濃厚なチョコとエスプレッソ。そして生クリームの織りなす。芳醇なレイヤーを楽しむ。生まれたのは19世紀。トリノにある小さなカフェ。名門サヴォイア家が、イタリアに、チョコレートをもたらしたのが始まり。イタリア最後の国王も虜になった。王政廃止で、国を離れる時には、彼は、カフェに寄り、その味を心に刻んだという…
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2025年8月9日放送「カムバック / マジンプロスパー」

スラッガーに必要なもの。それはパワーだけではない。あの男は、ルーキーでチームの4番を任された。ピート・インカビリア。順調に長距離砲として活躍するが、やがて不調に苦しみ、マイナー落ちを経験。齢を重ねると、メジャーへの昇格は難しい。だが、彼に諦めるという選択肢はなかった。舞い戻った舞台でホームランを量産。カムバックを果たした…
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2025年8月2日放送「三重奏 / テルツェット」

透明感のある音楽。3本の弦楽器が知性を放ち、まるで、対話しているかのように響き合う。チェコを代表する作曲家の作品。アントニン・ドヴォルザーク。彼が紡ぎ出す美しいメロディが、人を引きつける。力強さよりも軽やかさ。音色は、宝石箱のようにきらびやかだが、演奏の難易度は実に高い。まるで彼女のように…
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2025年7月26日放送「鉄馬 / ライフタテヤマ」

アメリカの大地を疾走する鉄の馬。馬をバイクに乗り換えて、この国の20世紀は始まったが…。エンジンの鼓動と、馬の駆け足のリズムは、どこかシンクロしている。かつて、馬は生活に欠かせない存在。競馬も、人々を熱狂させた娯楽の1つだった。競馬場はダートが主流。ダートの土煙を、スーパーホースが切り裂いて…
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2025年7月19日放送「万能 / ウオッカ、ドウデュース」

全てを備えし馬とは、どんな距離でも勝利する、サラブレッドのことだろうか?1,600mに勝つスピード。2,400mを走り切るスタミナ。そして2,000mは、速さとタフさを兼ね備えてこそ制覇できる。今宵は、全てを併せ持った2頭に思いをはせよう…
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2025年7月12日放送「世界の果てへ / サンバレンティン」

世界の果てへ。未開拓の自然が残る。最後の秘境かもしれない。南米大陸の先端。そこは、風の大地。風はあの山脈から。アンデスだ。南極から吹く風がこの山脈にぶつかり、世界有数の大氷原を作り出した。その風はやがて、宝石とも言われる、美しき山を築き上げた。サン・バレンティン山…